博愛置場

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思った以上にアイカツしてそうなアイカツプラネット!を語る 〜プロジェクト発表会だけではわからない魅力〜

はじめに

2020年8月11日に配信された「BANDAI × BN Pictures Festival」(以下プロジェクト発表会と表記)にて、今年9年目を迎えるアイカツ!シリーズの新プロジェクト『アイカツプラネット!』が発表されました。

 

game.watch.impress.co.jp

youtu.be

 

なんと今回は驚きの実写×アニメ×3DCG!今までにない新しいコンテンツの可能性が開かれる!

 

 

……と思われるのですが、プロジェクト発表会時の動画は低評価が高評価を大幅に上回り、コメント欄は大荒れ。

コメントの中には「こんなのアイカツじゃない」「アイカツとは別タイトルでやってほしかった」といった発言も……。

(当時の動画はアーカイブのみでコメントや評価数などを後から見ることはできないようです)


たしかに今までアニメーション作品としてやってきたTVアニメ『アイカツ!』のシリーズが突然実写になってしまうわけですから、そういった点に拒絶反応が出てしまうのも仕方ないでしょう。

何よりも「アイカツシリーズ新プロジェクト」というお題目を掲げて集まるのは今までアイカツを応援してきたファン以外いないのに、それで誰もが期待していた肝心の作品内容にほとんど触れないまま新しいキャストさんのアイカツと関係ないトークショーが始まったら、そりゃあ「こんなのアイカツじゃない」になってしまうのは当然です。

実際にプロジェクト発表会を観ていた私も似たような感情を抱きました。

 

しかしその後に公式サイトや公式Twitterなどからプロジェクト発表会では語られなかった詳細が続々と公開。

そんな中で私の心の奥にあった「これ、アイカツか?」が徐々に「これもアイカツ!」に変化してきました。


今回のプロジェクト発表会は「アイカツシリーズ新プロジェクト」というお題目で今までのファンを集めたわりには、今までのファンが喜ぶような情報が一切入っておらず、そういった情報はどうしてか全部プロジェクト発表会の外で発表されています。

なのであの発表会だけを見て拒絶反応を起こしてアイカツプラネット!を忌避してしまったり、「私はアイカツのファンとして切り捨てられてしまったのかもしれない」と疎外感を覚えたりしてしまうのはちょっと早い。


アイカツプラネット!の情報、あの発表会の内容以外にもたくさんあります。

これから始まるアイカツプラネット!を応援するか否か、判断するのはそれらの情報を吟味してからでも遅くはありません。


というわけでこの記事では、プロジェクト発表会やアイカツプラネット!に対して「これ、アイカツか?」となっている老若男女を問わない方々を想定読者として、ひとりのファンが以下を語ります。

  • そもどうして実写パートがあるのか?
  • アイカツプラネット!って思った以上にアイカツなのでは?という話
  • 新しいアイカツを好きになれなくてもいいんじゃないか、という話

 


そもどうして実写パートがあるのか?

ライバルのタカラトミーが手掛ける大人気女児向け特撮テレビドラマシリーズ「ガールズ×戦士シリーズ」の人気を意識してのものかなと思っています。

 

girls-heroine.jp


もちろん公式にそれが言及されてはいませんが、ある程度女児向けコンテンツの流行りを知っている方は「まぁ、そういうことなんだろうな」となるのでしょうか。

私はあまり詳しい身ではないのですが、この「ガールズ×戦士シリーズ」は今の女児に爆発的な人気を誇っているらしいですね。

気になる方は各自調べてみて、インターネット越しながらその人気を体感してみましょう。


当時のプリティーリズムに対抗するコンテンツであったところの初代『アイカツ!』の大ヒットには、当時のアイドルブームなど様々な要因が噛み合っていたところがあると思います。

そしてアイカツ!シリーズは無印の大ヒット以降は時勢の変化によって徐々に売上を落としていっていました。

(これについても気になる方はご自身でデータを調べてみてください)


そんな中、元々タカラトミープリティーリズムへの対抗だったアイカツ!が、同じくタカラトミーのガールズ×戦士シリーズに影響を受けて大規模なリニューアルを行う……なんだか不思議な運命を感じますね。


なので実写という要素は今の時流にこれ以上なく大胆に乗った結果であり、決してご乱心ではない……ということを突然の実写要素についていけてない方は理解する必要があると思います。

もちろんこの大規模な変革が成功するかどうかはまだ誰にもわかりませんが、「女児向け」と「売上」という方向性だけから見ればこのリニューアルはしっくり来るものなのかな、と。

 

この説明そのものは「こんなのアイカツじゃない」「アイカツとは別タイトルでやってほしかった」といった感情を打ち消せるものではありませんが(それらについてはまた後ほど語ります)、少なくとも背景くらいは知っておかないと理不尽ばかりが心に降り積もることになると思うので、公式からは決して説明されないであろう事情をまず最初に説明しました。

 

 

アイカツプラネット!って思った以上にアイカツなのでは?という話

ここからはプロジェクト発表会以外で発表された情報と、それを見て私が感じたことを話します。

スタッフ&キャラクター紹介

www.aikatsu.net


まずプロジェクト発表会以外で知っておきたい一番の情報は以下のスタッフです。

 

総監督・監督 木村隆一

シリーズ構成 千葉美鈴

キャラクターデザイン 宮谷里沙


おそらくこの情報を見た多くの方は「木村隆一さんがいるってことはアイカツじゃん!」と期待が爆上がりするでしょう。

(プロジェクト発表会でこのスタッフ情報が発表されていたらだいぶ印象が違ったはずなのに……)


原点たる初代『アイカツ!』の監督であり『アイカツスターズ!』以降の各シリーズでもスーパーバイザーとしてシリーズに携わってきた木村隆一さんの堂々たる監督復帰。

シリーズ構成は『アイカツスターズ!』から脚本で参加されていた千葉美鈴さん。

キャラクターデザインの宮谷里沙さんは無印から作画監督を務めています。


これまでのアイカツシリーズではお馴染みのスタッフですが、さらに注目したいのは同ページのキャラクター紹介。

各アイドルのプロフィールを読むと、これまでのアイカツシリーズでどことなく見覚えのある感覚があるんですよね。

 

小学校からの幼馴染、本谷栞とは親友で一緒にいることが多い。

音羽舞桜/ハナ)

 

舞桜とは小学校からの幼馴染で、自分にはない物を持っている舞桜を尊敬している。

(本谷栞/シオリ)


これらの設定はアイカツスターズ!のゆめちゃん小春ちゃんのそれを思い出させます。

幼馴染の関係性はいちごちゃんあおいちゃんはもちろんアイカツの定番ですよね。

私は珠樹るりさんはローラみたいなライバルポジションなのかな〜などと勝手に妄想を膨らませています。

 

元々は「アイカツプラネット!」で“ハナ”として活躍していた。

アイカツ!ランキングでは常にトップだった誰もが認めるトップアイドル。

そんな人気絶頂の中、アイドルライセンスとアイプラフォンを置いて突然姿を消した。

(陽明咲/ローズ)


これ完全に美月さんで笑っちゃいますよね。トップアイドルの失踪もアイカツの定番(?)


そんなわけでこれらのスタッフ情報とキャラクター紹介を読むと、アイカツプラネット!にて繰り広げられるアイカツの情景が脳裏に浮かんでくると思います。

実写というドでかい爆弾を撃ち込んできたわりには、わりとお話自体にはアイカツあるある設定が盛り込まれているんですよね。

放送開始までキャラクター紹介からどんなお話になるのか想像するのが楽しくて仕方ありません。

 

もちろんアイカツ!シリーズを「アニメーション作品」のひとつとして楽しんできた方は実写に動揺してしまうと思うのですが、「アイカツ」を「アニメーション作品」というよりは「アニメ」「ゲーム」「漫画」といった大きな括りと同列の「アイカツ」という形で他アニメとは別枠捉えていた節がある方は、案外するっと呑み込めるのかもしれません。

 

データカードダス

youtu.be

 

mantan-web.jp


そもそもアイカツ!とはアニメ以前にデータカードダスがあってこそのコンテンツです。

コンテンツの核たるデータカードダスの情報がプロジェクト発表会ではほとんど語られず、だから「アイカツじゃない」と感じてしまうところがあると思うのですが、これらの情報もプロジェクト発表会後に情報公開されています。

 

このPVを見ると、人によっては「これが実写にした意味か」というのがぼんやりと感じ取れるのかもしれません。

 

今までアイカツデータカードダスは「マイキャラ」と呼ばれるプレイヤーの分身をゲーム内で操作してアイカツをしてきたわけですが、この「マイキャラ」に込める存在意義は人それぞれだったと思います。

小さい子は自身の名前を入力して「自分自身」としてマイキャラを認識するパターンが多いのかなと思いますが、大きなお友だちに寄ってくるとこのマイキャラを「私の考えたオリジナルキャラクター」という自己から独立した一人格として扱う方もいたかもしれません。

 

実写のキャストさんがアニメ・3DCGで描かれるアバターとなってアイカツを行う……これってデータカードダスにおける「マイキャラ」を自分の分身として遊ぶのと完全に同じ構図なんですよね。

同じ女児向けアーケードゲームのプリパラも「あなた自身がアバターを用いてプリパラにやって来る」という劇中設定でゲームシステムそのものに作品世界観を反映させていましたが、アイカツプラネット!もキャストさんが実写で出演することで「アイカツをしているのは画面の向こうにいるあなた」という没入感が与えられることになるのかなと感じています。

 

以下、他にデータカードダス関連で注目したい要素

  • タッチパネル(これはプロジェクト発表会でも公開されていた)
  • スイングは表側にドレシア(ドレスの妖精)が描かれている一方、裏側には既存のアイカツカードのようにドレスの絵柄が描かれている
  • トップス、ボトムス、シューズの3枚を使うのではなく、ゲームの序盤、中盤、終盤ごとに3枚のスイングを使うと思われる(フルコーデカード×3みたいな?)
  • 1プレイ100円な一方でスイング(物理カード)排出には200円が必要


実写パートによって与えられるであろう「アイカツは現実とひとつづきである」という感覚、これが私がアイカツプラネット!に抱いている一番の期待なのですが、とりあえずそれは置いといて続けて他の公開情報に触れます。

 

新キャスト

今回のアイカツプラネット!主要キャストは全員スターダストプロモーションに所属しているようで、アイカツプラネット!ではSTARRY PLANET☆というユニットで活動します。

初代アイカツ!アイカツスターズ!がディアステージ所属の方々がSTAR☆ANISやAIKATSU☆STARSとして歌唱担当を担当し、アイカツフレンズ!ではホリプロインターナショナル所属の声優さんがBEST FRIENDS!として出演・歌唱をしていたのと同じ流れですね。

以上を踏まえると「アイカツを事務所の売り込みに使わないで!」みたいな発言はまるでトンチンカンなことが分かると思うので、インターネットでそういった発言をしている方がこういったアイカツの歴史に気づけたらなと思います。

(プロジェクト発表会がアイカツの話をほとんどせずにキャストのトークに終始する構成だったことのマイナス影響ももちろんあるとは思うのですが……)

 

特に新キャストの方々は十代の若い方も多いですし、そもそも若さに関係なくどんな人に対しても、インターネットなど公の場での言葉遣いには良識が求められると思います。これは自身への戒めでもあります。

 

そういった話はここまでにしておいて、とりあえずSTARRY PLANET☆の一員かつ主人公の音羽舞桜さんを演じる伊達花彩さんの動画がアイカツプラネット!ステーション(アイチューブから名前が変わったらしい)にアップロードされているので観てください。

 

www.youtube.com


伊達花彩さんが事務所に所属することになったのはアイカツをしにショッピングモールへ行ったときのスカウトがきっかけで「アイカツのお陰で今わたしはアイカツしているんです」とまで仰っているんですよね。

この時点で「ハイ!応援できる〜!!!」となった方もいると思います。私もです。とりあえず動画への高評価と応援コメント残しておきました。

 

私がこのエピソードで思い出したのは、オーディションに合格して新人声優として姫石らきちゃんや春風わかばちゃんを演じることになった逢来りんさんでした。

逢来りんさんも小学生の頃にアイカツが好きで、逢来りんさんがパーソナリティを務めるラジオ番組「ラジカツフレンズ!」「ラジカツオンパレード!」では度々アイカツのファンだからこその発言をしていらっしゃったりします。

 

ch.ani.tv

 

特にライブツアーのユニパレで逢来りんさんが美月さんの歌唱担当のりすこさんとコラボするにおいて『真夜中のスカイハイ』を選曲したというエピソードは逢来りんさんのファンっぷりが感じられるエピソードですよね。

そういった過去作におけるキャストさんの経緯もあって、キャストさんが小さい頃アイカツが好きだったという情報が入ってくるだけで勝手にSHINING LINE*を感じて応援したくなってしまう方は私を含めて一定数いらっしゃると思うので、そういった方がここらへんの動画に触れてくれたらな〜と思っています。

 

STAR☆ANISもAIKATSU☆STARSもBEST FRIENDS!も、作品内容と現実の演者さんがリンクするからこその面白さや感動といったものがありました。

先ほどお話しした「アイカツと現実がひとつづきである」ということはここにも繋がっていて、アイカツ!の世界観は一見して悪人のいない平和な優しいファンタジー世界のように感じられますが、それをファンタジーで終わらせず「現実でもアイカツみたいに頑張れちゃったりするんだよ」ということを表現してきたのがSTAR☆ANISやAIKATSU☆STARS、BEST FRIENDS!だと私は勝手に感じています。

 

一例としてアイカツフレンズ!で主人公の友希あいねちゃんを演じた声優の松永あかねさんが挙げられるでしょうか。

新人声優オーディションに参加し、アイドル活動やスタートライン!といったアイカツ楽曲の課題曲をパフォーマンスしきった結果見事グランプリに選ばれた松永あかねさん。

(そのドキュメンタリー動画が今は配信終了しているのが残念すぎる……)

松永さんが新人声優として同じく新人アイドルの友希あいねちゃんを演じるという状況には、キャストとキャラクターのシンクロを感じてしまいました。

実は劇中のあいねちゃんの言動にも松永あかねさんのそれが反映されていたりして、第5話「蝶のように舞花!」で初めてオーディションに挑んだあいねちゃんが持ち前のトモダチカラで他の参加者と積極的に話しかけていたシーンは、現実のオーディションにおける松永あかねさんの行動をなぞっていたりするんですよね。

もちろん松永あかねさん=友希あいねちゃんというわけではなく、松永あかねさんと同じく日向エマちゃん役で声優デビューした二ノ宮ゆいさんが当時十六歳でパーソナリティを務めたラジオ番組「ラジカツフレンズ!」では、より一層松永あかねさんの魅力や面白さが感じられます。

 

ch.ani.tv


アイカツに携わったスタッフやキャストさんが新しいコンテンツで活躍されている姿を見ているとそれだけで「アイカツ」を感じてしまうという方はいらっしゃると思います。

例えば、プロジェクト発表会でアイカツと同じく発表されたコンテンツ『最響カミズモード!』では虹野ゆめちゃんの歌唱担当である堀越せなさんが夢だった声優デビューを果たしています。

それってもう、アイカツじゃないですか……。

 

アイカツに携わったスタッフやキャストさんの新しいコンテンツでの活躍という点で話を飛ばすと、上記で挙げた日向エマちゃんを演じる二ノ宮ゆいさんは声優としてだけでなくアーティストとしても活躍していらっしゃって、デビューアルバムや今度発売のニューシングルは是非聴いてみてください。

演じるエマちゃんとは正反対に、いわゆる陰キャ的なコンプレックスを力強くカッコよく歌唱する姿は必聴です。

AppleMusicなど各種サブスクリプションで配信中。

 

youtu.be

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それとAIKATSU☆STARSの遠藤瑠香さんも、舞台を観に行くと歌唱担当とは別の役者としての凄さが感じられてファンになれると思います。

以下、瑠香さんが主演ではないのですけれど私が好きな瑠香さん出演の舞台です。

 

store.odd-inc.co.jp

 

といった風に(以上宣伝)アイカツがきっかけでアイカツと地続きになっているキャストさんを推すようになることもあるでしょう。

私の場合はもしラジカツフレンズ!を聴かなかったら声優を推すということはなかったでしょうし、今でも全人類はラジカツフレンズ!第1回を聴くべきだと思っています。

 

アイカツプラネット!のSTARRY PLANET☆もこういった今までのアイカツの流れに乗って、アイカツの一部になったり、これをきっかけにキャストさんのファンが増えていったら、それはひとつの「アイカツのWA」なのかもしれません。

かもしれないというより、アイカツスターズ!で語られる「アイカツのWA」もアイカツフレンズ!で語られる「トモダチカラ」も明らかにこういった「現実におけるアイカツを通じて人と人が繋がり、その中で新しい何かが生まれたり、人が成長していったりすること」をアニメ内に落とし込んだものでしょうしね。

 

 

新しいアイカツを好きになれなくてもいいんじゃないか、という話

ここまでプロジェクト発表会以外で発表されたアイカツプラネット!の情報を私なりに読み解いてきたわけですが、ここまで情報を調べても「やっぱり私はアイカツプラネットを受け入れることはできない」となっている方もいるかもしれません。

そもそもアイカツプラネット!はまだ未放送の番組・開始前のコンテンツであり、いくらこれらの前情報で期待を膨らませても、いざコンテンツが始まったら「期待していたのと違った……」となる可能性は大いにあります。

これは、ここまでアイカツプラネット!の注目点を自分なりに語ってきた私自身にも当て嵌まることです。

 

「今までアイカツが大好きだったのに、新しいアイカツに夢中になれなかったらどうしよう?」

 

そんな不安が私の心の奥底には僅かながらも存在しますし、同じような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。

 

ここから語るのはあくまで私自身の感情であり解釈であり心の持ちようの話なのですが、実のところ別に新しいアイカツを好きになれなくてもそれはそれでいいのかなと思っています。

 

さきほどから何度か「アイカツと現実はひとつづき」という話題を出してきました。

 

一昔前は「アニメはオタクたちがうまくいかない現実から逃げるための幻想」だなんて言われ方をすることもあり、実際に「つらいときの逃げ場所」といった側面が創作物に存在することは決して否定できませんが、そんな中でアイカツというコンテンツはこれ以上なく「現実」と接続された存在であると私は感じています。

 

アイカツ!の世界観は一見して悪人のいない平和な優しいファンタジー世界のように感じられながら、それは決して優しいファンタジーではなく「現実でもアイカツみたいに頑張れる、頑張ろう」というある意味では厳しいメッセージが込められていること。

それはキャストさんとアニメ世界のリンクだけでなく、アニメ本編でもそういった要素がたくさん存在しています。

現実におけるアイカツというコンテンツを通じた人と人の繋がりを抽象化した「アイカツのWA」や「トモダチカラ」だけでなく、もっとわかりやすいワードでもそういったことは語られてきました。

 

アイドルの笑顔でおなかはいっぱいにはならないけど、今日のステージで心の中が少しあったかくなって、みんなの今日が明日が少しでも素敵になったらいいな、そう信じて歌います。

(劇場版アイカツ!

 

ねぇ、みんな。みんなは今、夢を持ってる?モデルになりたいパティシエになりたいアイドルになりたい。たくさんの夢が無限に広がってる。その夢に向かって走り出そう。全速力で向かっていこう。だって、だって、夢は――

アイカツスターズ!第100話「まだ見ぬ未来へ☆」)

 
 アイカツという作品に勇気づけられて夢に向かって進んでいくこと、夢だなんて大それたものでなくても素敵な今日や明日を迎えたいと祈る気持ち……アイカツの物語は「疲弊した現実の代替」ではなく、現実のある一側面を描くことによる現実にいる視聴者への訴えかけ、より良い明日への自己啓発でした。

たとえばアイカツフレンズ!第4話「憧れのマイブランド」にて、一度はブランドを持つという夢を諦めた千春さんがあいねちゃんの姿に勇気づけられてもう一度夢を志す姿は、アイカツのアイドルに勇気づけられて現実の大人が前に進もうとする姿がそっくりそのままアニメのシナリオに落とし込まれていたと思います。

 

「リボンをいただいてからこの子、アイドルになりたいって言い出して。笑顔も増えたし、輝くためには歌もダンスもお勉強もスポーツも全部頑張るんだって張り切ってます」

「全部がアイカツ!

「アイドルってすごいパワーを持ってるんですね。すっかり親子でファンになっちゃいました」

アイカツオンパレード!第25話「光る未来へ」)

 

崖を登ることはアイカツ。海に潜ることもアイカツ。どれもアイカツ。これもアイカツ。ずっとアイカツ。いつもアイカツ

そもそも「アイカツとは何か?」という問いに答えを出すとしたら「人生をより良く輝かせる前向きな活動すべて」ということになるのかもしれません。

 

アイカツを観た人が少しでも素敵な明日を迎えられたらそれはアイカツ。またはアイカツに携わったスタッフやキャストが別コンテンツで活躍していたらそれもアイカツ

アイカツ」という概念は「アイカツ!シリーズ」という作品内に留まらず、アイカツというコンテンツの外でも存在するはずです。

アイカツプラネット!を好きになれなかったからアイカツに見放されたというわけではなく、それぞれが今までのアイカツから受け取った輝きを胸にそれぞれの人生でそれぞれのアイカツをやっていければそれでいいのではないかと私は思っています。


今までアイカツは8年も続いてきたのです。8年間も輝きを受け取って、何もないということはないでしょう。

アイカツはいつだって前に進むことの尊さや辛さを描いてきました。

それは「あなたはここにいてもいいんだよ」という赦しを視聴者に与えてくれるような他の作品と比べると、挫折と隣り合わせの厳しく現実的なメッセージなのかもしれません。

小さい子が「いつか○○みたいになりたい!」と純朴に願うことと、大人が「一度諦めた○○にもう一度挑戦したい」とではまるで重みが違います。

しかしさきほど述べたアイカツフレンズ!第4話のように、アイカツは子供だけでなく大人にもそのメッセージを届けようとしているのです。

 

アイカツ!シリーズも、無印からあかりジェネレーション、スターズ、フレンズへとシリーズが長期に渡って続く中で、「こんなのアイカツじゃない!」とファンが離れることもあったはずです。

 

私がいつかアイカツ!というコンテンツから離れなければならなくなったとき、アイカツから受け取った輝きを胸に自分なりの未来向きな今を続けていくことができるのか?

それともアイカツの何もかもを忘れて、新しく夢中になれる他のコンテンツを見つけたり、いずれそのコンテンツも忘れてしまったり、今まで好きになったものを忘れながらコンテンツを渡り歩いていくのか?

 

アイカツ!シリーズが9年目を迎え、アイカツプラネット!という作品で大規模なリニューアルを行うというこのときにおいて、私はそんなことを考えてしまうのでした。

 

 

さいごに

これまで「たかがひとりのファンが偉そうな顔で何を語ろうとしているんだ?」みたいなことをだらだら書き連ねてきたのですが、どうしてこの記事を書いたのかというと、

 

  • 生配信のコメント大荒れ
  • それに対して叫ばれる「女児第一!大きなお友達は本来のターゲットじゃないんだから〜」といった決まり文句
  • そんな様子を茶化したりマウントを取ったりする別にアイカツが好きなわけでもない外野

 

こういったサツバツ光景がSNSなどで広がっていることが背景にあります。

 

アイカツプラネット!の女児をメインターゲットに据えているからこそのリニューアルとそれについていけない既存ファンの構造に対して、SNSなどでは「アイカツはあくまで女児向けコンテンツ! 大きなお友だちがハマれないから怒ったりしているのはおかしい! 黙って去れ!」といった感情的言及もありますが、しかし私はこれについて素直に頷くことはできません。

(もちろん怒って誹謗中傷じみた発言をするのは論外ですが)

 

アイカツは今年で9年目のコンテンツです。ファンの中には「小さい頃からアイカツが好きで、今も大好き」というようなティーンもたくさんいます。

アイカツくらい歴史が続いたコンテンツに対して「女児」と「大きなお友だち」だけでファン層を二分してしまうのはナンセンスなのではないかと思ってしまうのです。

 

いわゆる「大きなお友だち」であればプロジェクト発表会のYouTubeコメント欄を荒らすようなことはしないはずで、仮にそういった大人が存在していたとしても少数派なはずです。

コメント欄にネガティブで幼稚な感情をぶつけていた層は、素直にまだ幼稚だった――ティーンくらいの「大きなお友だち」と呼ぶにはまだ若いファン層だったと私は考えています。

 

そんなティーン(もしくはそれ相当にまだ精神が若い方)に対していい年した大人が「黙って去れ!」みたいな言葉を顔を真っ赤にしてぶつけるのって、正直ダサいじゃないですか?

 

アイカツの話をほとんどしてくれなかったプロジェクト発表会で「アイカツプラネットやだ!」となってしまった若い人(もしくは老若男女問わずそういった感情を抱いた方)に向けて、「嫌なら出ていけ!」以外の言葉が自分なりに発せられたらなと思ってこの記事を書きました。

 

アイカツプラネット!が影響を受けたであろうガールズ×戦士シリーズは、特撮であるがゆえにアニメから流れてくるような大きなお友だちは少なめだと思われますし、「実写」という一点でアイカツプラネットはアニメファンを遠ざけがちな面は間違いなくあります。

女児をメインターゲットに力強く据え直す大胆なリニューアルをする一方で、これまでのファンが離れてしまう可能性はあるでしょう。

 

しかし最近のアイカツというコンテンツの商品展開は女児以外の大人向けも含めて幅広く展開しています。

アイカツが女児向け「だけ」のコンテンツであったら、マルイにリミテッドショップをオープンしたり、2020年にゆずっとリリィのぬいぐるみといった大きなお友だち歓喜のグッズをプレミアムバンダイで販売したりはしないわけです。

 

www.aikatsu.com

 

p-bandai.jp

 

見捨てられた!と傷つくのは早いし、自分が今日まで好きだったアイカツを見捨てなければ、アイカツはいつだってあなた自身のものですよ。

 

私のアイカツプラネット!への期待を記事を読んだ方と共有したいという気持ちはもちろんですが、この記事には「別に今までのファンが見捨てられたと決まったわけじゃない」「新しいアイカツを無理に好きになる必要はない」「今までのアイカツへの好きが消えなければ、いつだってどこだってアイカツはできる」といった私の考えを整理する意図も存在します。

 

この記事を読んだ方、あなたは今までのアイカツ、これからのアイカツ、どう考えていますか?

そして今まではアイカツといっしょに在った人生を、これからはどうしたいと思っていますか?