博愛置場

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『蒼穹のファフナー THE BEYOND』1〜3話ネタバレ感想

蒼穹のファフナー THE BEYOND』の1〜3話を劇場先行上映で観てきました!

 

以下観てきた勢いのまま忘れない間に書き殴った感想です。

最初はふせったーとかに投げようとしたのだけれど、思った以上に長文となったのでこちらに移しました。

 

推敲をまともにしていない文章なので読みづらさは勘弁してください。

観るまで知るべきでないネタバレが大量に含まれているのでそれも注意。

パンフが売り切れで読めていないので、情報の不足や勘違いの可能性も高。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総士の物語における構造が無印の流れをなぞっていることに鳥肌。

平和な島で外の世界の真実を知らずに育つ子供。外の世界への好奇心による無線機での交信。そして明かされる残酷な世界の真実……。

これらって一騎世代がファフナーに乗るまでの流れと完全に一緒なんですよね。

 

総士が無線機を使うシーンは特に一騎世代のことを思い出して涙目になってました。

 

しかし明かされる世界の真実。総士が妹と思っていた乙姫は一騎によって殺害される

(敢えて「いなくなる」ではなく「殺害」と表記する。なぜならフェストゥムを知らない総士にとって死は死以外の何物でもないから……)

 

2話の流れはマジでエグかったというか「外の世界を知りたい」という純朴な少年の願いへの回答があまりに重すぎた。

偽りの竜宮島における総士の家族、みんな故人なんですよね。道生さんも弓子も乙姫も視聴者がその「いなくなる」瞬間を見届けた人物。そんな彼らが総士の暮らす平和の象徴として存在していることで、その平和が偽りとして破壊される瞬間の苦しさが半端ない。

 

EXODUSにて残されたベイグラントのゴルディアス結晶とマークレゾンへとアトランティスのコアを導いて赤い月を形成させてしまったこと(ここらへんの用語がまだ覚えきれてない)がマリスの最大の罪なのだろうけれど、フェストゥムが人間を学習して人間を模倣して作ったあの偽りの竜宮島の在り方を視聴者は否定しきることができない。

 

外の世界がどうなろうが知ったことなくて自分たちの平和な世界で生きていく……というのはかつての竜宮島の在り方と実は同じ。

ただし竜宮島の場合は、人類とフェストゥムの共存の可能性を知っていく中で、EXODUSにて専守防衛をやめてエスペラントという可能性および島の外にある現実と向き合うことを決意した。

その結果、今回BEYONDにおいて竜宮島メンバーは(偽りの竜宮島で平和を享受していた総士にとっての)簒奪者となった。

 

EXODUSでは、赤い靴作戦として選ばれた人類以外の抹殺を目論んでいた人類軍と、人類とフェストゥムの融和の可能性を探り続ける竜宮島およびエスペラントが、互いの目的のためには人類同士で傷つけることも厭わない……という悲惨さにおいては正義も悪もなく本質的に同一であり、現実を見据えて進み続けようと願う限りその悲惨からは決して逃れられないということが(主に真矢の同胞殺しなどから)示された。

 

それにおいてあの偽りの竜宮島は、EXODUS以前の竜宮島における「争い事を持ち込む人類軍といった外部とは干渉せず竜宮島内の平和を保ち受け継いでいく」という鎖国思想を極端化した描写のようにも感じた。

 


総士にとって(そして外の世界の犠牲の上に成り立つ偽りの竜宮島の平和を否定し切ることのできない視聴者にとって)一騎は平和の簒奪者であるのだけれど、そんな一騎が残酷の中に唯一行動で示した優しさは総士の「外の世界を知りたい」という願いに応えて彼を迎えに来たことかなと。

 

総士が「外の世界なんて興味ない。この平和の中で暮らせればそれでいい」と宣言していたら、一騎は偽りの竜宮島への攻撃はしなかった……とまではいかなくとも、総士を奪還することに今回以上の罪悪感を抱いたと思うんですよ。

 

けれど総士は外の世界を知りたいと願った。だから一騎は現実を教えた。それがどんなに残酷でも、一騎は総士の一途な願いに対して誠実に応えることが自分なりの責任の取り方だと決意した。

 

BEYONDの一騎はそういう意味で残酷なまでに父親だった。

一騎は総士の願いに対して誠実であるけれど、総士の心境にまでは寄り添わない(というかもう殆ど人間を辞めてしまって休眠ばかりの存在だから寄り添えない)。総士の自身に向ける憎しみにさえ、まともに応えない。

 

総士の心の奥底に残る一騎に手を引かれていた記憶といい、一騎のBEYONDにおけるポジションは主人公である総士に対しての父親であり、BEYONDは総士が父親越えをしようとする物語なのかなと思いました。

 

(母乳出そうなくらいの母性に満ちていた俺たちの一騎ママがまさか総士ぼっちゃんの前に立ちふさがるパパ役になってしまうなんて……)

 


2話のエグさが半端ないけれど、フェストゥムの来襲と共に否応なくファフナーに乗る選択をした一騎世代と比べて彼がまだマシなのは、戦いを強要されない点かなと思う。

 

ファフナー無印における最大のファンタジーというか、物語を描くにおいてのお約束は、一騎たち少年少女がファフナーに乗って戦うことを基本的なスタンスとしては拒絶せず素直に受け入れることだと思ってます。

「どうして子供なのに戦わなくちゃいけないの?」大人たちはその疑問を常に抱えて罪悪感に苦しんでいるけれど、戦う子供たち当人はそれを当然のように受け入れる。

彼らはそのように無意識下で教育され、戦うために遺伝子操作され生まれたきた存在であり、戦わなければ平和は守れず何もできずいなくなるだけなのだから、それが当然ではある。

当然であるから、彼らは文句を言わずにファフナーに乗る。

 

けれど対して総士は人間的な在り方として当然のように現実を拒絶する。

海神島のみんなは総士を暖かく迎え入れてくれるし、ファフナーに乗って戦えなんて言わない(ニヒトとクロッシングしろとは言ったし結果的にファフナーに乗ることにはなりはしたけど……)けれど、それでも総士は全てを否定する。

家族の仇だから当たり前ではあるのだけれど、真矢が「自分が守られていることに気づいていない」と総士に対して辛辣なのは、そういう一騎世代の自分たちとの対比の上なのかなと思った。

 

BEYONDの真矢は総士の母親……の立場になれるかというと無理だと思う。

かつては表面上において優しく振る舞えた真矢だけれど、EXODUSにて外の世界を知り、自ら同胞の命を奪い、そして奪った命の重みを背負うに中で、もはや今の真矢はかつてファフナーに乗ったときにしか見せなかった冷徹さを一切隠さないようになった。

真矢が総士に優しさのようなものを見せることはきっとないのだと思う。そういった感情がわずかでもあれば、総士を奪還したとき彼がパペットである可能性を考慮して信じない……といった言動はしないはず。

 

ただし人間としての営みをほぼ捨てて休眠ばかりの一騎に対して、真矢は一騎の代わりに総士に現実を教え込むことができる。
今後の真矢は総士の教官みたいな立場になるのかもしれない。

 

(生まれ変わった後も真矢からの対応が塩な総士かわいそう……)

 


次回サブタイが「力なき者」とのことで、きっとニヒトに乗って一騎への復讐を目論む総士はきっと何もできず(おそらく一騎に辿り着く前に)鎮圧されてしまうのだと予想する。

総士は世界を知らず、突きつけられた現実を前にただ拒絶を繰り返すだけの子供。そんな彼がかつて一騎が島を飛び出したように迷いながら苦しみながら自分なりのここにいる理由を見つけ出して一騎と相対するのがBEYONDの物語なのかも。

 

総士のたどり着く先が、必ずしも海神島の面々との融和とは限らないかもしれない。彼が見つける自分がここにいる理由は、誰かを犠牲にしてしか生きられない海神島への面々へノーを突きつけることなのかもしれない。

実際マリスはエスペラントながら美羽たちを裏切ってフェストゥムの側についた。

ここらから先は単なる二項対立以外にも様々な立場や思惑が絡み合うのかな?

 

 

以下雑感


第1話サブタイが「蒼穹作戦」とのことで観る前は「蒼穹作戦の名前を連発しすぎて作戦名の重みがシリーズを重ねる度に軽くなってくやつ!」と思っていたけれど、実際観ると蒼穹作戦の名に相応しい物語の重大局面から始まるやつだった。

 

ザインに乗るのは美羽ちゃんなんですね。たしかに元人間の一騎に対して美羽は生まれたときからエスペラントとして特殊な存在であるわけで、クロッシングの適性は一騎より高いはず。一騎の方がザインを乗りこなせるとしても、戦力のバランスを考えると島内唯一(というか人類保有唯一)のザルヴァートルモデルは美羽が乗るほうがより良さそう。

 

一騎が乗る機体はグリムリーパーと呼ぶらしいけれど、蒼穹作戦で一騎が離脱した後に機体を奪って2話以降はマリスが乗った流れなのかな?

じゃあ2話の総士奪還戦で乗った機体は何なんだろう。

ザインよりは総合戦闘力が低めっぽいけれど、敵への侵食同化能力はSDPとして健在。
戦闘の度に休眠が必要ぽくて、もう一騎は人間としての生活はできていないっぽい……。

相変わらずの強さだけれど、2話で一騎甲洋操が激強3人衆みたいな呼び名で呼ばれていたのには笑った。

 

1話で死にかけた里奈が2話以降登場していなくて安否が不安。

彗が助けたシーンを踏まえると、EXODUSとは違って今度は助けられた……という流れなのだろうけれど、総士奪還作戦には参加していないし、ファフナーに乗れないくらいの後遺症とか何かが残ってないといいな……。

 

総士と美羽がどことなくボーイミーツガールっぽかった。

乗る機体もザインとニヒトで対になってるし、何かあるのかな。

てかこのふたり実年齢的にもいわゆるおねショタなんだよな……でも美羽が実はマリスといい感じになってた過去があってて、後に総士がそれを知って三角関係ぽくなったりしたらどうしよう……。年上のお姉さんに過剰なスキンシップされてドキドキしてたら自分の友達がお姉さんの彼氏だったとかしんどすぎない?

(パンフに何か書かれてたりするのかな)

いやというかそもそも美羽ちゃん(CV.諸星すみれさん)がぽっと出の新キャラとフラグ立てるのもそれはそれで嫌ですね。ハイ、この話はおしまい!

もういない道生さんの代わりとしても、美羽ちゃんがお腹の中にいた頃から彼女の成長を見守ってきた身として、絶対に男は認めねぇぞ……(?)