(ネタバレ注意)CPオタク視点からの『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#2 Transition』感想
TVアニメを観てレヴュースタァライトにハマった人は舞台版#2も観たほうがいいよ!
特にカップリングのオタクは要チェック!!!
TVアニメ全話と舞台版#1(レンタルとかで手軽に観られる)を予習してから劇場かライブビューイング会場にGO!!!!!
はじめに
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#2 Transition』の初日初回を観劇してきました。
いやとにかく良かった……少なくともこうして感想記事まで書いてしまうくらいには。
そういうわけで今回は観劇の感想を述べていくわけですが、どのような視点から話を掘り下げていくのかについて、観劇した私自身の立場を事前に説明しておきたいと思います。
「いやお前が百合のオタクだってことはもう十分知ってるから!」「いいから早く感想を語れ!」という方はこの序文は読み飛ばしちゃってください。
私はTVアニメ版を観て「これは面白い!」とレヴュースタァライトにハマったクチでした。
いやすごいですよね、レヴュースタァライト。
第1話で表面的な印象から「ウテナっぽい」といった感想を抱いた方もいるかと思いますが、実際のところ既存のアニメコンテンツで一度は見かけたことがあるような要素を積み重ねつつも、あらゆる要素がリファインされ2018年という時代に合わせて新しく組み合わされた結果、とてつもなく質の高いTVアニメーションが完成したという印象でした。
厳しい芸事の世界でプロ意識を持った少女たちが互いに競い合い切磋琢磨しながら絆を深めあっていく様は、私の大好きなコンテンツ『アイカツ!』に通じるところもあり、そういった意味でもかなりハマってしまいました。
(アイカツ!も面白いしCP要素も子供向けとは思えないくらい濃厚でたっぷりだからレヴュースタァライト好きな人は観たほうがいいよ)
ループというともすれば「またか」と飽きられてしまう可能性のあるお決まりの設定を物語の基幹・クライマックスではなく登場人物それぞれが抱える課題のひとつとして中で消化した点などにはひたすら唸らされるばかりです。
そんな面白い要素が無数にある中でも特に私が惹きつけられたのは、キャラクター主導のアニメコンテンツにありがちな各話における《個人回》という要素が《カップリング単位》で消化されている点でした。
そもそも私はカップリングのオタク、百合のオタクであったために、このレヴュースタァライトのカップリングゴリ押しの姿勢にはすっかりやられてしまいました。
キャラ主導アニメコンテンツの常套だと、序盤に物語の前提を展開し終えた後はキャラの魅力を掘り下げる個人回を連続させ、そして終盤に物語を完結させるクライマックスを持ってくるものだと思います。
しかしレヴュースタァライトはキャラクターを売り出すにおいて、個人単位だけで物語を進行させずに同室同士などのニコイチで物語を進行させてきました。
5話の華恋←まひるで百合のオタクとしてグッと惹きつけられたところに、6話のふたかお、大場ななさんのループという壮大な設定に対しても彼女に相対しある種の救いを与える存在として星見純那さんを配置してきたり、真矢クロからのクライマックスのかれひか……とにかくカップリングを推す姿勢が凄まじい。
そのキャラクター間の関係性の描き方も、感情を繊細かつドラマチックに描いていてたいへん素晴らしい。
ファンが俗称として使うカプ略称を公式方面がズバズバ使ってくるのも壮絶ですよね。
キャラクター単体だけでなく、キャラクター同士が紡ぎ合っていく関係性にファンは惹きつけられる……そういうツボをレヴュースタァライトというコンテンツはがっつり突いてきました。
カップリングなどの話題はともすればファン同士の軋轢を生んだり、公式がそこらへんを露骨に推すと嫌がられたりもするものですが、レヴュースタァライトはそういった要素を丁寧かつ大胆に描いてきた印象でした。
まぁそういった要素に惹かれて私はレヴュースタァライトにハマったわけですが、一方でTVアニメ本編以外のメディアミックス要素にはだいぶ疎いところがありました。
今回の#2は初日初回に観に行ったわけですが、実は観る気満々だったかというとそうでもありませんでした。
今回私が舞台を観に行ったのは、たまたま身近にチケットが当選したお友達がいてその幸運にあやかっての縁。
つまり自分から積極的に観劇を求めたわけではなかったのです。
実際のところ私はTVアニメについては何度も見返しつつも、前回の舞台については『#1 revival』をレンタルで一度観たのみでした。
関連CDなどをきっちり購入してライブに備えて楽曲を聴き込んでいるわけでもなく、演者さん周りについても殆ど知らない状態。
つまり各種メディアミックスについてはほとんど追えていませんでした。
(あっ、でもオーバーチュアの漫画は読みました。じゅんなななの「ひとりぼっちの子をちゃんと見つけてくれる人だって思ったの」あたりの補完がめちゃくちゃ良かった……)
そういった意味で私は初日初回に駆けつけた他のファンと比較すると、だいぶニワカだったかもしれません。
ただまぁしかしこのとおり感想記事まで書いてしまうくらいに今回の舞台にハマってしまったわけで、どうして私がここまでハマってしまったのかを以下に述べていきたいと思います。
以下『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#2 Transition』(以下#2)についてネタバレを含みます。
#2を未見の方で今後観劇の予定があり、なるべく事前情報なしで観劇したい方はページを閉じてください。
怒涛の元カノ展開 -Transition-
あっ、ここから先はカップリングとか百合とかの話が無理な方もページを閉じてね。
どうしてここまで#2を楽しめたのかというと、やはりそれは私のカップリングのオタク・百合のオタクとしての部分を#2が強烈に刺激してくれたからに他なりません。
いやだって#2ヤバくないですか?????
ざっとヤバい要素を挙げると以下です。
- 露崎まひるの元カノが登場する
- 大場ななの元カノが登場する
- 真矢クロ、ふたかお周りの安定感ある展開
- ひかまひ地味に来てない?
特に元カノ展開。
いやヤバい。百合のオタクとして三度の飯より元カノ展開が好きなんですけど(?)#2はそこを的確に突いてきた。
#2はライバル校たる青嵐が登場してくるわけですが、#1とTVアニメ版を前提として世界観を広げてきた印象があります。
世界観を広げるにおいて、新しい登場人物を既存の登場人物と過去に関係があった因縁のある相手として登場させてくる展開には痺れました。
私が今回舞台の感想を書こうと思ったのは、そういったカップリング周りの要素を掘り下げて語りたかったというのがあります。
ミュージカルにおける演出の諸々や、ライブのセトリ云々、その他コンテンツを深く追いかけているからこそ気づける各要素については他の造詣の深い方がこれから語ってくださると思います。
けれどカップリング周りについてはやはりそれらを注視している人でないと気づけない点が多い。
カップリング周りについてもレヴュースタァライトを構成する大切な要素のひとつであり、レヴュースタァライトという物語を読み解くにおいてとても重要なものだと私は考えています。
カップリングを考えることは、劇中の登場人物間の感情や関係性を掘り下げることであり、そういったことを考察していくことは即ち作品の構造自体を読み解いていく作業とほぼイコールになります。
TVアニメ本放送のときは、毎週放送される度にたくさんのファンが登場人物の関係性に萌えたりそれを考察したりする様が(私のTwitterのTLでは)見られました。
TVアニメ本放送時において登場人物間の関係性を丁寧に読み取っていた方々は、#2の
新たな登場人物やそこから発展していく関係性に触れたとき刺さるものがあるはずです。
そういった方は#2を観劇した後にそれらの要素について語りたくて仕方なくなるでしょう。
現に私は語りたくて仕方ないし、観劇した後にいっしょに観た友人とカップリング周りについて語り倒しました。
しかし舞台はTVアニメと違って観劇にハードルがあるし、観劇してもネタバレの配慮などがあって、なかなかSNSなどでおおっぴらに語りづらい……!
特に#2はライバル校や新キャラの登場に伴う新たな関係性の描写が多いです。
題についている「Transition」は「遷移」の意。
新たなステージに移行したレヴュースタァライトは、TVアニメ版までの登場人物の関係性を継承発展させたりそこに新たな関係性を付け足しています。
そうなると#2を観劇した人とTVアニメ最終回までしか観ていない人の間ではうまく会話が成立しない。
TVアニメしか観ていない方は露崎まひるや大場ななに元カノがいるなんて夢にも思わないのです。
#2を観劇した我々だけが露崎まひるや大場ななに元カノがいるという世界の真実に触れている。
これはあまりに巨大な断絶であり、その断絶を埋める手段は#2を観劇する以外に現状ありはしない……。
語りたいのに語れない。
#2を観たカップリングのオタクは元カノ概念といったあまりに莫大な関係性をその身に浴びながら、TVアニメ本放送をTwitterでワイワイ語り合っていたときと違い、ひたすらひとり孤独に自室の壁へ向かって感想を壁打ちをするしかないのです。
スタァライト#2――それは、既存キャラに元カノがいることが判明したり今ピがライバル校に寝返ったりしてぶつかり、いさかい、すれ違いながらも結ばれていく絆。だけど、それを観劇したオタクはネタバレに配慮してブチ上がった感情を自らの心の内で反芻することしかできない、悲しい物語。
そんな私の悲劇をハッピーエンドに昇華するために、もしくは同じような感情を抱いている方が「わかる〜!ここヤバかったよね!」となれるように、さらには#2を観劇する予定はないけれど内容は知りたいという方が記事を読んで少しでも興味を思っていただけるように……そういったことを考えて今回の記事を書こうと私は決めました。
というわけで今回の記事は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#2 Transition』の初日初回を観劇した感想を、主にカップリング的な視点から物語を掘り下げていく形で語っていきたいと思います。
一度きりの観劇なのでうろ覚えの箇所などが多いですが、その点については事前にご了承ください。
新展開への遷移
カップリング周りを発狂しながら語る前に、まずは#2の物語構造を俯瞰から振り返っていきたいと思います。
今回の#2、私はほとんどの前情報を仕入れずに観劇に臨みました。
TVアニメの後日談という情報はぼんやり聞いていたのですが、ライバル校が登場するなどの話は耳に入れていない状態です。
少し前、今回いっしょに観劇した友人とは別の友人から
「悪魔のリドルで例えると、TVアニメ版のレヴュースタァライトが原作漫画版の悪魔のリドルで、舞台版のレヴュースタァライトはTVアニメ版の悪魔のリドル」
という話をしていて「なるほど的を射ている」と思ったのですが(物事を悪魔のリドルで例えると伝わりやすいという恵まれた人間関係)、それくらいの認識だったので
「舞台とTVアニメでだいぶ違うけどそこらへんの折り合いとかどうするんだろうね」
みたいなことを開演前にぼんやりと考えてました。
実際のところ#2は舞台とTVアニメを混ぜ合わせたような形だったでしょうか。
幕が上がって始まったのはTVアニメ最終回で描かれた第100回聖翔祭の場面です。
スタァライトの脚本を原作から書き換える再解釈が行われ、大場ななさんが9人目として新たな女神を演じ、華恋とひかりが演じるフローラとクレールは再会。
幕が上がった瞬間にこれがTVアニメの続きなのだということが理解できます。
一方で先生などの登場人物は舞台版から引き継いでいる形です。
舞台少女たちの性格は、TVアニメ版だとライバルであるお互いを尊重しながら切磋琢磨してく(例えればアイカツ!のような)方向性で描いていましたが、#1だとわりとギスギスしていました。
アホの度合いが大きめの華恋。ツンの度合い強めのひかり。性格の悪い部分が2割増しくらいの香子。委員長キャラっぽい言動が派手めの純那。より人間的で敵愾心などの態度を見せてくる真矢。
それらの性格も多少TVアニメ寄りにマイルドになりつつも基本的には舞台版が軸になっているように思いました。
感覚的には、舞台版の舞台少女たちがTVアニメ版と同様の物語をなぞった後――と言えるかもしれません。
また劇中ではキリンの「わかります」や大場ななさんの「バナナイス」、真矢様の「This is 天堂真矢」、アタシ再生産など、TVアニメ版からの要素を受け継いだ演出がありました。
舞台とアニメのいいとこ取りといった感じでしたね。
そんな中で新しくライバル校の青嵐総合芸術院と、その生徒三名及び先生が登場します。
第100回聖翔祭のスタァライトに感動し、しかしスタァライトを演じきれる生徒が三名と少ないがために、聖翔に負けない実力を自負しつつも悔しさを募らせる青嵐の生徒。そんな生徒たちに聖翔との合同授業(もっと正しい名称があった気がするけど思い出せない)を勧める先生――「盗めるものは盗め」という言葉(だったかな?記憶が曖昧)に導かれ、生徒たちは聖翔へ。
TVアニメ最終回後に訪れる新展開。
先程述べたとおり、これが題のTransitionつまり遷移であり、TVアニメ版で綺麗に完結したレヴュースタァライトという物語を再生産し、コンテンツを新展開に移行させていく要素でしょう。
ライバル校の出現なんかはいかにもよくあるTVアニメや漫画などのセカンドシーズンといった趣ですね。
(アイカツで例えればドリームアカデミーとかヴィーナスアークのやつだし、生徒を奪おうとするあたりはVAを連想しちゃう)
#1におけるひかりの転入やまひるの嫉妬、クロディーヌの真矢への敗北、ふたかおの痴話喧嘩……などがTVアニメ版前半の大元になっていることを考えると、#2のライバル校登場もTVアニメ2期などの展開がもしあればその原型として扱われるかもしれません。
ひかりとスタァライトを演じることができた華恋が目的を見失う様も、よくあるTVアニメの2期序盤で一度目的を果たした主人公が悩む展開っぽくありますし(私的にシンフォギアGXなどを連想したりしました)、そういった点なども一度完結した物語を再生産する要素らしく見えました。
今度こそ主役の座に立つために闘志を燃やす舞台少女たちと、目的を見失う華恋。そんな99期生たちの元に青嵐の生徒たちがやって来ることで物語が始まります。
2期っぽいアツい展開
聖翔学園2年A組にやって来た青嵐の生徒たちは、合同授業という名の喧嘩を売ってきます。
共に授業に参加する中で互いの実力を計り合うとか、そういった写実的な表現ではなくもっと抽象的な表現。
即ち制服を着たままでの殴り合い。
そう、それだよそれ!
それこそ舞台版レヴュースタァライト!
唐突に始まるバトルは舞台版レヴュースタァライトの華。
#1では伝説のシゴキ=ザコ戦闘員とのバトルだったのでこの展開に疑問を差し込む余地はありません。
これがレヴュースタァライトです。
この展開に疑問を抱くのは『HiGH&LOW THE MOVIE3 FINAL MISSION』で素手の攻撃が効かないターミネーター源治に身体に鎖を巻いた攻撃は効くという展開に疑問を抱くのと同種の問題だと思われます。
「どうしてそうなるのか」ではなく「そういうものだから」
理屈ではなく感覚で物事を捉えましょう。
青嵐の舞台少女はたった三人で聖翔の九人を圧倒します。
青嵐の生徒はひとりで聖翔三人以上の実力があるのか。というかそもそも制服での喧嘩(殺陣?)にひとりが何人分とかそんな概念があるのか。
たぶんここらへんは外面的必然性ではなく抽象的必然性によって解釈すべき部分だと思うので、
「青嵐の生徒は聖翔の生徒に負けないぐらい舞台少女としての実力がある!」
という印象を受け取るのが正しいと思われます。
青嵐の実力を痛感する99期生の中、人一倍に焦りを感じていたのが石動双葉でした。
青嵐の先生である八雲響子は、殺陣なら聖翔で一番だという自負が打ち砕かれた双葉の感情を察していました。
八雲はかつて自らも舞台少女だったと告げます。そして八雲とのタイマン(としか表現できない何か)に敗北してしまう双葉。
より確かな実力を、力を渇望する双葉。八雲はそんな双葉に「青嵐に来ないか」と持ちかけます。
な、なんだって〜?!
双葉は青嵐に行ってしまうのか?!
双葉はどうしてそこまで力を求めるのか?!
実際のところ八雲先生と双葉が対面する場面になった瞬間に「なるほどね……」とすべてを察してしまったので、もうここから先は安定の石動花柳になることが確信できてしまいますね。
TVアニメ6話でわりと本筋から外れたところで痴話喧嘩をしていた石動花柳でしたが、#2でも安定感が凄まじくて「そういうところが石動花柳の味なんだよな……」という感じでしたね。
さらに青嵐の生徒の内、二名は露崎まひると大場ななの中学時代に関連する因縁の相手でした。
そしてレヴュースタァライトの公演権を奪おうとする青嵐VSそれに対抗する聖翔のレヴューが始まります。
青嵐のレヴュー衣装は聖翔のそれと比べて白黒を基調にした質実剛健な雰囲気。
聖翔衣装の前掛けに相当する部分は鉄製だしボルトで留められているっぽいし「いやもうこれ絶対落とせないでしょ?! ボタンとボルトじゃ不公平じゃない?!」みたいな感じです。
ここらへんも明らかに実力が一段上の相手ということを表現している感じがしますね。
1期では考えられなかった形でのパワーアップをしている新たな敵という要素。
いかにも2期といった雰囲気でテンションが上がります。
(例えるとなのはA'sでカートリッジを搭載したデバイスでベルカ式を扱うヴォルケンリッターが登場してきたときと同じ感覚)
夏空
最初のレヴューは露崎まひるの元カノこと南風涼VS露崎まひる&神楽ひかり。
南風涼の得物は剣。華恋や真矢、クロディーヌの剣と比べるといくらか大柄な感じです。おそらく大剣という認識でいいのかな。
(パンフレットを読んで気づいたのですが、南風涼を演じる佃井皆美さんは仮面ライダー鎧武で仮面ライダーマリカのスーツアクターと変身前の湊耀子を演じていたことを知りました。最近平成ライダーを履修し始めたことでこういうところにも気づけるようになって地味に嬉しい)
露崎まひるの元カノ概念も凄まじいのですけれど、何よりも驚いたのはまひるとひかりがタッグを組むところですよね。
いやだって壁にふたりの名前が映し出された瞬間ぜったい「ひかまひ?!」ってなるじゃないですか。
2期特有のドリームチームというか、デュエット自体はTVアニメ版でもかれひかVS真矢クロがありましたけれど、でもまさかのひかまひですよ。
まひるVSまひるの元カノという関係性が中心になるレヴューにおいて「未来でつながる者」として「まひるが舞台少女として未来を目指した先に待っているのが自分」みたいな台詞を入れてきたのもヤバくないですか?
ひかりはTVアニメ版最終回で一度華恋とスタァライトを演じてもさらなる先を目指す気概を持っており、その上で自らが再びクレール役となる前提でまひるがスタァとなればフローラとクレールとしてふたりで舞台に立つことになる……そういう理屈でレヴューを有利に進めるために物語を作ったという部分はあるのかなと思います。
しかしそれにしてもまひるが持ち前の優しさから元カノの切実な願いに自らの願いを曲げそうになったときにそんなまひるを「自分を見失わないで」と叱咤するのがひかりっていうのめちゃくちゃ良くないですか?
ここらへんのひかまひはほんとにヤバかったので、後ほど改めて語ります。
レヴューのタイトルは「夏空」
エモい……
これまで「嫉妬」とか感情や概念をタイトルにしてきたのに、ここにきて情景ですよ。
なんか百合のオタクが綺麗な風景写真を見たときに反射的に「百合じゃん」ってツイートしたりするのをたまに見かけたりするけれど(するよね?)まさにそれって感じですよね。
南風涼はまひるの中学時代の同級生。バトンを以てしてまひると同じ舞台に立ちたいとまひるの背中を追いかけて必死に練習していた涼。
しかしある夏の日の練習時、宙に投げたバトンを目で追ったとき不意に太陽の光がバトンの姿をかき消した。
涼はまひるを追うばかりに倒れてしまった過去を持っていた。そのために涼はまひるに巨大感情を向ける。
故の「夏空」
エモい……
なんとなく百合を連想させる情景とかではなくマジモノの巨大感情が向けられる百合。
ここの南風涼、佃井皆美さんの語りもとてもよくて、台詞から夏空の情景が脳裏に浮かんでくるようでした。アニメだと絶対に回想シーンが差し込まれてるやつだ。
ここでまひると同じ舞台に立ちたい涼の感情によって優しい心の持ち主であるまひるが舞台少女として揺らいでしまい、そのせいで前掛けを落とされるという展開もいいですよね。
露崎まひるの元カノ。ついさっきまで想像もしなかったものが公式の概念として(公式に交際していたわけではない)現実になってしまいました。
アレな話をすると、たしかに露崎まひるは九人の中でひとり余るポジションだったので、今後新しい展開があったら(例えばまどかマギカで巴マミになぎさという相手が与えられたように)新しいカップリング相手が用意されることもあるのかなとは思っていましたけれど、さらに驚いたのは大場ななさんの元カノの存在でした。
初雪
じゅんなななは大場ななさんの元カノこと穂波氷雨と対峙します。
いや大場ななさんの元カノ?!??!
たしかに大場ななさん身長高いし絶対モテるし中学時代に付き合ってた相手がいても何もおかしくないんですよね。
そりゃそうだよな……大場ななさん普段は無邪気な笑顔を浮かべるけれど無垢そのものかと言われたらそうじゃないし、童貞か非童貞かって問われたら絶対非童貞だものな……。
大場ななさんが中学時代にひとりきりの演劇部をやっていた頃、舞台に誘ったのが穂波氷雨でした。しかし合唱部の氷雨は合唱部員からの視線に耐えきれず、本番直前になって大場ななさんを裏切り、そして大場ななさんはひとりで舞台に立つことになってしまうのでした。
そんな事件が起きたのがある冬の日――「初雪」の日。
エモい……!
露骨に一部の百合のオタクが悦びそうなところをレヴューのタイトルに入れてくるの良すぎますね。
このレヴューにおいて勝利するのは聖翔側でした。
大場ななさんを裏切ってしまった悔恨から舞台少女として大場ななさんに挑む穂波氷雨。
しかし大場ななさんは穂波氷雨に憎しみを向けているわけではなく、むしろ彼女を自らが立つ舞台へと引っ張り上げる形で勝利します。
TVアニメ版にて乗り越えるべきものを乗り越えた大場ななさんの成長が勝利に繋がったようにも感じられました。
そしてクライマックスへ
元カノふたりを掘り下げた上で、クライマックスに向けて一気に書き連ねていきたいと思います。
青嵐のリーダー格、柳小春と真矢クロの対戦では、真矢が手を抜いてわざと敗北します。
柳小春の得物、あの篭手みたいに装備した盾から剣が飛び出してる奴ってなんて呼ぶんでしょうね? 今までの舞台少女とは明らかに武器のデザインが異なっていて男児心をくすぐる感じになってます。
TVアニメ版で「天堂真矢は負けてない!」と悲痛な叫びを上げていたクロディーヌからすれば真矢の敗北には納得できない気持ちが大きかったと思われます。
私もTVアニメ7話で真矢様が大場ななさんに敗北したときめちゃくちゃショックだったので「なんで?!」となっていました。
どうでもいい話なんですけれど「春雷」というレヴュータイトルにテンション上がってる真矢様を見てると「あっ、なんかTVアニメ版と舞台版だと真矢様のキャラがだいぶ違うけれど、舞台版の真矢様もなんか楽しそうでなによりですね……みたいな感じがして好きだな……」となりました。
前掛けを落とされた真矢様は聖翔を裏切る形で青嵐側についてしまいます。
そこらへんは何よりも自らの成長を望む真矢様の考えによるものなのかなとも思ったのですが、実はクロディーヌにさらなる成長を促すためのものだと判明します。
いや真矢様、クロディーヌのこと好きすぎるでしょ……。
TVアニメ版を踏まえるとそれぐらいの感情があってもおかしくないのですが、舞台版のキャラクターということでそこらへんの認識が薄れていたところを的確に突かれてしまった感覚です。
そして青嵐側についた双葉VS香子のレヴュー。
いかにも力を求めて闇堕ちしたような双葉ですが、それは香子を追って同じ舞台に立つがために外の世界を知ってより成長するためでした。
うん、知ってた。
石動花柳は相変わらずの安定感というか、ふたりで永遠にイチャイチャしてくれ……という感じがしてとてもよい。
#1やTVアニメ版だと香子の我儘的な部分が波乱を引き起こすような展開でしたが、一方で#2だと双葉の言動がきっかけに波乱が巻き起こる形で、そういった部分で対になっている感じがしました。
双葉と前掛けを落とされたまひる、真矢が青嵐側についたことで人数も拮抗、事態が混迷を極めていく中、青嵐の八雲先生の真なる目的が判明します。
それは第100回聖翔祭のスタァライト主演である愛城華恋と神楽ひかりをレヴューによって青嵐側に引き込むこと。
八雲先生が「盗んでこい」と言ったのは演技術に留まらず、まさに言葉通りの意味だったのです。
いや生徒に窃盗(というか半ば誘拐)を要求する教師ってなんだ?!
八雲先生はスタァライトの上演権を奪った上で、青嵐においても華恋とひかりを主演に据えようとしていました。
そうなるとつまり青嵐の生徒たちには主演のチャンスがないということ。
迷う青嵐生。八雲先生は舞台少女たちを思うがままに操って自らの思い描く舞台を実現しようとしていました。
そこに立ち上がる愛城華恋。舞台少女を解き放つという目的を手に入れて、TVアニメ版のバンクで登場します。
そして聖翔の卒業生だった八雲先生はかつて走駝先生と共に戦ったという敵を召喚します。
ここらへんの先生間の因縁も地味に良い箇所でしたね。今後TVアニメ2期などがあったときに先生が描かれるのかはわかりませんが、かなり好みの百合でした。
舞台装置級の巨大ロボ的な敵が登場するのかと身構えたのですが、登場してきたのは――ザコ戦闘員!
ここで!ついに!
ザコ戦闘員は舞台版レヴュースタァライトの華!
#1と違って白黒な衣装から無機質な印象を感じさせ、かなり強そうな雰囲気です。
聖翔青嵐連合軍12名VSザコ戦闘員とその首領八雲先生。
聖翔青嵐は共に力を合わせ、かつて舞台少女だった八雲先生の未練に打ち勝ちます。
そして物語は大団円を迎えるのでした。めでたしめでたし。
カップリング周りを振り返って
#2がレヴュースタァライトというコンテンツにおいてTransition――遷移としてもたらした新展開については前の項で述べた通りですが、カップリング周りにおいても大きな展開がありました。
いややっぱ元カノ展開はヤバい。
もうこういう「昔の女」が登場する展開が大大大好きなので、そんな物語をレヴュースタァライトの新展開に盛り込んでくれた公式には感謝してもしきれません。
青嵐生三名がどれくらいプッシュされるのかはわかりませんが、他校生徒が登場するソシャゲのスタリラに登場する可能性は高そうですし、アニメ2期といった#2を元にしたさらなるメディアミックスが展開されればそこに登場する可能性もありそうですね。
アニメビジュアルが用意されていない点が気になりますが、どうか#2だけでフェードアウトせずに何らかの形で聖翔と青嵐の関係性をやってほしいです。
#2ではこれまでのカップリングの描写もありましたが、真矢クロとふたかおが安定の猛プッシュだった一方で、描写が少なめのCPもありました。
かれひかはもちろん主役としての絡みはたくさんありましたが、新しい関係性が付与されることはありませんでした。
このふたりについてはTVアニメ最終回で描ききったこともあり、下手に関係性を付け足して蛇足になるのもよくないというのもあって、#2では控えめだったという感じですね。
またじゅんなななも、大場ななさんが巨大感情を向けてくる元カノに手を焼き続けていたこともあり描写は控えめでした。
しかし演者さんのアドリブっぽい絡みはたくさんあって、そういう点においてはじゅんなななのオタクも#2は満足できるのではないかと思われます。
また華恋←まひるの描写も#2ではすっかりオミットされていた感じがしますね。
ここらへんもTVアニメ版で描ききった部分があったからな気がしています。
露崎まひるに元カノがいるという情報も衝撃的でしたが、元々同室内で華恋とひかりの関係性が物語の軸となるために九人の中でひとり余ってしまいがちなところがありましたが、これから元カノとの関係性がメディアミックスでさらに描かれるとそちらのカップリングが増えたりすることもあるのかもしれません。
でもたしかにまひると元カノの関係性も強かったのですが、それ以上に個人的にヤバかったのがひかまひなんですよね…………
ひかまひ
ここから本題からちょっとズレて個人的にグッときたカップリングの話になります。
ひかまひヤバくないですか?
いや正直なところこれまで私はあまりひかり×まひるのカップリングに触れてこなかったというか敢えて避けていたところがあったんです。
地雷というわけではないのですけれど、自分の中でTVアニメ5話までに描かれた華恋←まひるの感情が大きかったんですよね。
かといって華恋とまひるでカップリングするかというとそうでもなくて、まひるの華恋への気持ちは報われないだろうなという気持ちはありつつ、しかしその一方通行の感情が好きみたいな感じだったんです。
女が女に向ける切ない片想いが大好き。そういうのが報われないのも大好き。
ひかりとまひるの関係性も大好きというか、普段だとそういう蘭あおメソッド(※)なカップリングにハマるタイプなんですけれど、そこらへんを自分の中で掘り下げるのは華恋←まひるの感情に自分の中で納得してからにしようとしていたので、その点で敢えて距離を置いていたんですね。
※蘭あおメソッド
アイカツ!の自カプである蘭×あおい的なカップリングの方向性のこと。
物語において主人公いちごと、あおい、蘭は三人でアイドルユニットを結成する。
本来ならいちごと彼女の幼馴染あおいのカップリングが王道なのだが、いちごがさらなる成長のために渡米して一年間あおいと離れ離れになる展開があり、その空白の一年間において三人ユニットの余りであるあおいと蘭がダウナーな交際をする二次創作が個人的に好みだった。
つまり三人組内で発生する三角関係において、王道CPではなく敢えての組合せを選択するカップリングや、もしくは主人公を中心とした三人組において主人公を除いたふたりでカップリングする方向性のことを指す。
ことうみとかようりこみたいなやつ。
ひかまひについては、華恋←まひるの感情が一番巨大であろうTVアニメ11話のひかりのいない空白の7ヶ月を二次創作で書いて自分の中で決着をつけてからやっていこう……と思っていました。
しかし#2がそれを吹き飛ばした。
レヴュー「夏空」において、描かれたまひるとひかりの関係性。
ひかりがまひるとの関係性を自ら「未来で繋がる者」としてきたのは本当にすごかったです。
この台詞は「ひかりは次回の聖翔祭も主演を諦めておらず、またまひるが舞台少女として輝いた先に主演を射止めれば、ふたりでスタァライトを演じることになる」という部分もアツいのですけれど、個人的に一番アツいのはレヴューにおいてひかりがまひるの先導者として存在感を示していた部分だと思うんですよ。
ひかまひというと、TVアニメ6話以降の華恋への依存を辞めた真昼が華恋だけでなく生活能力のないひかりのお世話を焼くという要素から、ひかりのお世話を焼くまひるからCP妄想が広がっていく部分はあったと思います。
しかし「夏空」のレヴューにおいては、まひるが持ち前の優しさから元カノに揺らいで舞台少女としての自らを妥協してしまいそうになったときに、ひかりがまひるを叱咤します。
日常だと生活能力のないひかりはまひるにお世話になりっぱなしですが、一方で舞台の上ではひかりがまひるを引っ張る立場にあるわけですよね。
この対称性ですよ。
これまでは日常生活におけるまひるにお世話になるひかりだけだったのが、舞台におけるひかりに叱咤されるまひるという要素が入ることで、関係性が相互的になり魅力が尋常でなく増した。
なんかひかりがまひるを叱咤する場面、なんとなくひかりが王子様っぽく見えましたよね。
普段はダメダメで尻にひかれっぱなしだけれど、いざというときにはカッコよく相方を引っ張るひかり。
そう捉えるとめちゃくちゃ胸キュンというかひかり×まひる王道カプでは?!??!!みたいな感じになってしまう。
しかもじゅんなななや真矢クロがデュエットする中でそれに並んでのひかまひデュエットレヴューですからね。
じゅんなななや真矢クロに並ぶ王道カプな気がしてくる。
ひかりはまひるが華恋関係で自分を苦手に思っていたりするんじゃないかと考えていたり日常生活で迷惑かけっぱなしで申し訳なく思っていたりするけれど、でも当のまひるはひかりの些細な言動にドキッとしていたりしたらめちゃくちゃ良くないですか?
やばいこのシチュいい。こういう二次創作読みたい。まひるこれにする。
華恋←まひるの感情に向き合って決着をつけてからひかまひを考えようとしていたのに、#2のせいでひかまひにすべてを奪われてしまった。
助けてくれ。
これまでカップリング方面でコンテンツを見ることが少ない友人と話すとき「誰推し?」と聞かれて、しかしカプ厨の私は大体の場合においてカップリング単位で推すので誰かひとりというのがなくてどうにもうまく話が広がらない……みたいなことが何度かありました。
そんな中レヴュースタァライトはカップリング推しが強いので、あまりカップリング推しでない人でも「誰と誰のペアが好き」という傾向が出てきやすくて話しやすい。
……かと思いきやよりによって華恋←まひるの片想い周り(かれまひというわけではない)にハマってしまったせいで、せっかく友人は「どのカプが好き?」と聞いてくれるのに「露崎まひる」と単推しアンサーをしなければいけないのがもったいない〜という感じだったんですよね。
せっかくレヴュースタァライトというカプ厨憩いのコンテンツにハマったのによりによって単推しに。
けれど#2でひかまひがグワ〜ッときたので今度からひかまひ推しって名乗れるのかなと思いました。
やっぱりレヴュースタァライト面白いな〜〜〜〜〜。#2の新展開を元に色々メディアミックスを盛り上げてほしい。ついていきます。すき。
ちなみにこの項だけお酒飲みながら書いてます。
というわけで何もそれらしい締めがないのですが、これにて感想文はおしまいです。
どのカプも強くて最高だったのだけどひかまひが特にビビッときた。